富山県立山町にある国指定重要文化財「旧嶋家住宅」の保存修理工事が完了し、2025年8月30日から一般公開されます。
重厚な中世建築の構造を持つこの歴史的建造物は、地元の風土に根ざした技術と美しさを今に伝えます。
当記事では、修理の概要や旧嶋家住宅が持つ文化的・建築的価値、今後の見どころなどについて深堀りします。
旧嶋家住宅とは?
旧嶋家住宅は、18世紀頃に建てられたとされる歴史的建造物で、かつては富山市片掛(旧細入村)の飛騨街道沿いに存在していました。
外観は町屋風、内部は農家風という珍しい造りで、山地の街道筋に見られる民家の典型として評価されています。
1969年、富山県の民家緊急調査で重要文化財候補に挙がり、その後県に寄贈され、現在は立山博物館まんだら遊苑内に移築保存。
また、映画「劔岳 点の記」のロケ地としても知られています。
引用:webun 北日本新聞社
修理プロジェクトの全貌
長年にわたって部分修理は行われてきましたが、2003年以降は修理が途絶え、2021年度には雨漏りが深刻化。
これを受けて耐震診断が実施され、文化庁の補助事業として保存修理プロジェクトが本格化しました。
修理内容には下記が含まれます。
・石置き板屋根のふき替え
・土壁の塗り直し
・外観に配慮した耐震補強工事
設計監理を担当したのは、富山市の職藝学院院長・上野幸夫さん。
建築現場では、県内でも数少ない「棟持柱」構造や、湾曲した梁材を用いた高度な技術の解説も行われました。
今後の見どころ
完成後の注目ポイントは下記の通りです。
・上野幸夫院長による解説会:同氏による、旧嶋家住宅の建築技術や文化的背景への理解を深める会が、2025年10月に予定されています。詳細は博物館公式情報で要チェックです。
・文化的価値の再発見:「棟持柱」や湾曲梁など、中世構造の強さと技術力をまじかに感じる貴重な体験。
・映画ロケ地としての魅力も:「劔岳 点の記」ゆかりの場所としても親しみやすく、文化と映像の交差点として注目される存在です。
多くの人に「貴重な建築物を知ってもらいたい」との博物館の願いが、修理完了によって具現化されました。
アクセス・営業情報
・施設名:旧嶋家住宅
・所在地:富山県中新川郡立山町芦峅寺15-3
・公開開始日:2025年8月30日(土)
・営業時間:9:00〜17:00(最終入場16:30)
・休館日:毎週火曜日(祝日の場合は翌平日)
詳細やイベント情報は、富山県立山博物館公式サイトをご確認ください。
まとめ
地域の知恵と技術を後世へ伝える文化遺産旧嶋家住宅は、富山の気候に適応した中世建築の知恵と技術の結晶です。
地域の歴史を学び、建築の奥深さを体感する絶好のチャンス。
ぜひ現地を訪れ、300年の時を超えて蘇った文化財の息吹を感じてみてはいかがでしょうか。
当記事は以上となります。
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